SANGGAR AGUNG

(サンガル・アグン寺院)

2016年3月6日

スラバヤ市東部に、海とアトラクションが楽しめるケンジュラン・パーク(Kenjeran Park)という施設があります。
子どもが楽しめる遊び場があったり、ロマンチックな夜の雰囲気を楽しんだりできることから、地元の家族連れやカップルもよく訪れる観光地になっています。

アクティビティーとしては、馬やバイクレース、子どもが遊べる遊園地のような施設があり、海に関したものでいうと、釣りやボート乗り、魚の買い物などが楽しめます。

これだけでもオススメの観光スポットではありますが、今回ご紹介したいのはそれらのアクティビティーではなく、この施設の中にあるサンガル・アグン寺院(Sanggar Agung)です。
さて、どんな寺院なのでしょう?

海にそびえたつ如来菩薩像

サンガル・アグン寺院は、中国の民族宗教(Tridharma(三つの教え)と呼ばれる)の信仰者の為に建造されたものです。元々は1978年に、現存の場所より500メートル程離れた所に建設され、そこから3度移転を繰り返し今の場所に建てられたのが1999年のこと。

興味深いのは、この建物が純粋な中華系の建築様式ではないこと。
イスラム教信者が多くを占めるインドネシアですが、古来からのジャワ文化や、歴史的に培われたヒンドゥー教・仏教の影響を受けた土地であるジャワ島スラバヤだからこその、特徴的な建築様式なんです。
例えば、建物の全体的な様式はバリ式を採用している一方、寺院の屋根はジャワ的な要素と中華的な要素を織り交ぜたものになっています。

寺院の中では無数の大小のろうそくが赤い炎を揺らめかせ、厳粛な雰囲気をたたえています。
訪問時、数人の参拝者が静かにお線香の束をあげていました。

この寺院で目を引くのは、何といっても18メートルの高さを誇る如来菩薩像です。
菩薩像の両隣りに2体の守護神と、その少し下に位置するところに四天王が構え、更に門番として二頭の大きな竜が大きな口をあけ鋭い牙をのぞかせています。

そして、その菩薩像の後ろには大きく広がる干潟が!
ここサンガル・アグン寺院はその特徴ゆえに、華僑の人々が、亡くなった先祖に思いを馳せ祈りを捧げる場所として訪れたりもする、と聞きました。
遮るものは何もなく遥か遠くまでもを見渡せ、地平線にマドゥーラ島を望むことができる眺めは、まさにそのような場所としてふさわしいように思えました。

インドネシア最大の四面仏像

この寺院にあるもう一つの特徴的な像は、四面仏像です。
その高さは、インドネシア国内で最大の36メートル!(土台から屋根までを含む)

先ほどの如来菩薩像のある場所と道を挟んだ反対側に、この四面仏像は鎮座しています。
インドネシアの人々からは、"Maha Brahma(偉大なヒンドゥー教の神)"と呼ばれているこの四面仏像は、2004年に建造されました。金色に輝いて見えるこの四面仏像、なんとタイから輸入した22カラットの金箔で覆っているのだそうです。当時の金額にして15億ルピアだとか(現レートで1,300万円程)。

四面仏像の塔は81平方メートルありますが、多くの仏塔は特別な意味を持つ"9"という数字を使っているのだそうです。四面仏像の周りには4体のゾウが建てられ、またガネーシャ像も見ることができます。

寺院を訪れたとき、四面仏像の前では参拝者が数羽の鳥が入ったかごを携えて、四面仏像に向かって数度頭をさげていました。その後かごの蓋を開け、鳥を放っていました。
これは「放生」(ほうじょう)と呼ばれる仏教の善行の一つで、捕らえた生き物を放ち功徳を積む行為です。
日本においても殺生を戒める風習は古くからあり、聖武天皇(8世紀)の時代には、「放生により病を免れ寿命を延ばすとの意義が明確にされた」(ウィキペディア参照)のだそうです。
現在でも、日本各地で放生会(ほうじょうえ)と呼ばれる祭事が催されています。

 

インドネシアにいて、中国民族宗教に触れ、タイ由来の四面仏像を見て、更に日本でも行われている放生の儀式を目にする、、、、何だか不思議な感じがします。

イスラム教の国というイメージの強いインドネシアですが、そこにあるのは、長い歴史の流れの中で培われてきた様々な文化の融合。
そんなインドネシア独特の文化を感じられる場所、それがサンガル・アグン寺院なのです。